#9 研ぐ,そして完成

あとはいよいよ研いで刃を付けたら完成である。

ステンレスの包丁は手で研いでも刃が付かないとお思いの向きもあるかもしれない。鋼の包丁にくらべると研ぐのが難しいのは事実だが,包丁を砥石に当てる角度を一定に保って研げばちゃんと刃は付く。

研ぎは荒研ぎ・中研ぎ・仕上げ研ぎと,段階を分けて行う。

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#8 ブレードの鏡面仕上げとハンドルの成形

ブレードを鏡面仕上げにするため,電動ドリルにバフを取り付け,それでブレードを磨く。ドリルの騒音が長時間出つづけるので,日中に行いたい。

ハンドルの成形がまだ終わっていないが,先にブレードを磨くことにする。

ヒルトをロウ付けしたときの銀ロウが,ヒルト近くのブレード表面に残っていたりするので,それを耐水サンドペーパーで磨いて落とす。

鏡面仕上げにするには,ブレード表面全体を#1000以上の細かいペーパーで磨いておく。

それからバフで鏡面仕上げにする。回転するフェルトバフに研磨剤を塗り,そのバフにブレードを当てて磨いていく。

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#7 ヒルトとハンドルの取り付け

熱処理から戻って表面の被膜を落としたブレードに,ヒルトとハンドルを取り付けていく。

まずはヒルトから取り付ける。コの字型に削ったヒルトとブレードを組み合わせ,あらかじめ明けてあった穴にピンを通す。ピンの材質はヒルトと同じニッケルシルバー。

このピンの両端を金づちで叩いてカシメる。

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#6 ブレードの研磨と熱処理

これまでは#40という,非常に目の粗いサンドペーパーでブレードの表面を削ってきたが,ここからはもっと目の細かいサンドペーパーで表面を磨いていく。

#100の耐水サンドペーパーに当て木をしてブレード表面を磨く。今まで#40で削ってきた筋目が消えるまで磨く。

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#5 ブレードを削り出す

「ブレードを削り出す」と言っておきながら,まだブレードは削らない。その前にタングをテーパードタングに削り出したい。

タングとは,ブレードと繋がった鋼材のハンドル部分のことである。ハンドルと同形状のタングを,ハンドル材で挟み込んでいるものをフルタングと呼ぶ。

フルテーパードタング
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#4 ヒルトを削り出す

ヒルトというのはナイフのハンドルの,ブレード側の端に付いている口金のことである。

ヒルトには大概,指を保護するための突起 (つば) が付いているが,つばの無いものをヒルトと呼ぶのかどうか,私はよく知らない。

包丁の口金にはつばが無いのが普通だが,とりあえずここではヒルトと呼ぶことにする。

まず,包丁の側にヒルトがはまる切り欠きを作る。

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#3 外形を削り出す

人に「包丁を作る」という話をすると,大抵は驚かれる。普通の人は包丁なんて自分で作るもんじゃないと思っているからだ。

そして多くの人は,真っ赤に熱した鉄を金づちで叩く「鍛造」を思い浮かべるようだ。

そうしたやり方は鋼材を熱するための炉など,設備を必要する。個人が趣味でやるには適さない。

ここでは「ストック&リムーバブル法」というやり方で製作していく。これは材料となる鋼材を削り出して刃物を作る方法である。本格的にやっている人はベルトサンダーなどの機械を導入していたりするが,私の場合は電動工具はドリルくらいのもので,主に金工ヤスリを使って鋼材を削り出す。比較的簡素な道具立てでも出来てしまうのがこの方法の利点である。

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#1 ぼくのかんがえたさいきょうのほうちょう

ある日,私は思い立った。

「そうだ,包丁作ろう」

私は普段,料理をするにはするのだが,それほど頻繁にやるというわけではない。一応は料理をするので当然,包丁はすでに持っている。

普通の刃渡り18cmの三徳包丁だ。家庭用の包丁としてはごく一般的な形状と大きさだろう。

この包丁があれば,私がやる料理には十分こと足りる。だがこの包丁を使うのが億劫になってしまうことがある。

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