あとはいよいよ研いで刃を付けたら完成である。
ステンレスの包丁は手で研いでも刃が付かないとお思いの向きもあるかもしれない。鋼の包丁にくらべると研ぐのが難しいのは事実だが,包丁を砥石に当てる角度を一定に保って研げばちゃんと刃は付く。
研ぎは荒研ぎ・中研ぎ・仕上げ研ぎと,段階を分けて行う。
包丁にまったく刃の付いていない状態なので,まず目の荒い砥石(荒砥)を使い,刃先の角度を付けてとがらせる。
下のトレーの柄は気にしないでほしい。
使用している砥石は『シグマパワー セラミック荒砥石』。研削力が高く,こうして一から刃を研ぐ場合に重宝する (目が詰まりやすい気もするが)。
表裏両面を研いで,先端からアゴまで刃先が一様にとがったら,中研ぎに移る。
中研ぎに使用している砥石は『シグマパワー セラミック中砥石』。これもサクサク削れてくれて使いやすい。
これも表裏研いで,荒砥の研ぎ目が消えるくらい研いだら,さらに細かい仕上げ砥での仕上げ研ぎに移る。
使用している砥石は『キング 仕上げ砥S-2』。
なぜ仕上げ砥もシグマパワーで揃えなかったのかと思われるかもしれないが,シグマパワーの仕上げ砥は高い。
なお,キングの仕上げ砥石はS-1,S-2,S-3とサイズの違う3種類が存在するが,大きさの違いが微妙すぎて,なぜ3種類も用意したのかよく分からない。
仕上げ研ぎを終えても,刃先には「かえり」と呼ばれるバリが残っている。かえりを取るには新聞紙やジーンズや皮に包丁の刃を寝かせて押し当ててこする。
こうして「ぼくのかんがえたさいきょうのほうちょう」は完成した。我ながらなかなかの出来映えである。
週一回,毎週日曜日に作業を行って,半年かけて完成に漕ぎつけた。