「ブレードを削り出す」と言っておきながら,まだブレードは削らない。その前にタングをテーパードタングに削り出したい。
タングとは,ブレードと繋がった鋼材のハンドル部分のことである。ハンドルと同形状のタングを,ハンドル材で挟み込んでいるものをフルタングと呼ぶ。
上の図は包丁を刃の背側から見たところだが,この図のようにフルタングで,タングが後端に向かって薄くなっているものがフルテーパードタングである。
タングが後端まで同じ厚さでは重心が後ろに寄ってしまうが,テーパードタングにすることでバランスを良くすることができるという利点がある。
というわけで,タングをひたすら削る。
テーパードタングに削り出せたら,次はいよいよブレードの削り出しだ。
背側から刃側に向けて薄くなるように削るわけだが,刃が鋼材の厚みのセンターに来るようにケガキ線を引いておく。
そしてまた,ひたすら削る。
削る。
刃物用ステンレス鋼は手ごわい。
ところで今回作っている包丁は,私が今まで作ってきた刃物のなかで一番大きい。ブレードの面積が大きくて,私の腕ではヤスリで削るだけではいまひとつ面が平らにならない。
そこで,石板に貼り付けた耐水ペーパーで研削し,出来るだけ平面に近づけていくことにする。
ブレード面に色を塗って,
#40の耐水ペーパーで削る。
ちなみに使っている石板は,ホームセンターで買ってきた床板用の花崗岩,500円。定盤ほどちゃんとした平面ではないだろうが,包丁作るには十分だろう。
なお,素手ではブレードを押さえる指が滑りやすく,指に力が入りすぎて大変疲れるので,ゴムの作業用手袋は必須。
色が残っているということは平らではない。塗っては削りを繰り返して,平面に近づけていく。
しかし刃物用ステンレス鋼は手ごわい。
塗った色が均一に削れるようになったら,この作業は終了だ。
次はブレード面をより目の細かいペーパーで研磨していく。